読書日記:Aeonnous教授の英単語暗記法
受験でもそうですが、語学の上達は単語力にかかってきますね。
英語の場合は、語源を活用すると単語力が増えます。これは、昔の森一郎先生の名著「試験に出る英単語」にも書かれていたことで、感動を覚えたものです。
この方式は、森鴎外が語学を勉強するときにも活用していたやりかたで、おそらく、最初に受験技術として鴎外が確立したものとおもいますが、天才はやはり違うなと思います。ギリシア、ラテンの語源にさかのぼって、英単語、特に学術用語を理解したうえで、覚えたのですね。
例えば、democracy というのは、ギリシア語に起源があって、demo- 民衆/一般市民、という語源と、-cracy 権力、という語源で、民衆の権力すなわち民主政治という意味になるわけですね。demo- と, グラフのgraphyがくっついてdemographyとなると、人口統計(学)ですね。
これがわかると応用がききます。古代ギリシアでこのdemocracyを、王政monarchyや貴族政治aristocracyなどと比較して政治学として説いたのは、アリストテレスです。
democracyの弊害があらわれると、ochlocracyとなります。ギリシア語の起源で、ochlo-は、群衆の、という語源ですので、衆愚政治という意味になります。暴民政治とも言います。扇動者によって理性を失った政治です。古代ギリシアでもその弊害があらわれ、賢者アリストテレスの深く憂慮したところですが、ギリシア世界はこれで没落していったわけです。
aristocracyも、本来は、本来は、プラトンが理想とした賢人政治とも訳すべきものでしたが、特権階級による貴族政治という意味になってしまいました。貴族は自らを賢人として任じたわけです。
現在話題のロシアの特権階級であるオリガルヒも、英語のoligarchyと同じ語源で、アリストテレスは寡頭政治として逸脱した政体として挙げています。
政治のありかたとしては、「財産政治」も古代ギリシアからありました。timocracyですね。本来は、富による栄誉名望を重んじた政治を指したものですが、金権政治plutocracyと同じ意味になってしまいました。いずれにせよ、富によって政治に参画できる者がきまるということです。英語の名前のTimothy、略称Timさんは、この栄誉を意味するtimo-を語源としています。Timothyは神を誉めたたえる者という意味にとれますが、ほまれさん、という感じでしょうか。
plutocracyのpluto-は、Pluto冥王(のちに冥王星)を連想しますが、そうではなく、Plutusといえば、元来は古代ギリシアの福の神となります。冥王Pluto(n)も地下の富をもっていますので、まぎらわしく、かなり混淆してしまっています。いずれにせよ、富者を英語でaffluentといいますが、洪水のように流れ出るほどの富というのがplu>fluには含まれています。
gerontocracy というと、geronto-老人、とわかると、老人政治ですね。老人が権力を独占して、若者の利益が損なわれる政治ですね。geronto-というギリシア語の語源は、おなじ印欧大語族の梵語のjaraにも通じます。般若心経の「無老死」は梵語のna-jara-maranaです。語源をたどると、インドまで行けます。
最近、政治学で流行していることばがkleptocracyです。
盗賊政治、泥棒政治と訳されます。政治家が私腹を肥やす、というレベルではなく、利権をあさり私腹をこやすために腐敗しきった政治を行っている状態ですね。klepto-は泥棒で、kleptomaniaといえば盗癖です。
スタンフォード大学のダイヤモンド教授は、この盗賊政治を、国際社会において、民主主義に対する重大な脅威として論じています。最近でた訳書はとてもよくできております。
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中国の古典、荘子(外篇)には、「竊鉤者誅,竊國者 為諸侯,諸侯之門,而仁義存焉。」と記されています。よく知られていますが、「鉤を窃む者は誅せられ、国を窃む者は諸侯となる。諸侯の門にして、仁義は存せり。」ということで、ベルトのバックルを盗むと泥棒として処刑されるが、国を盗む者は大名となって、正義道徳もその大名のものとなっている、という極端なリアリズムを荘子は吐露しています。
好きです、荘子。
kleptocracyを泥棒政治と訳してもいいのですが、この典故にしたがった中国語の「盗国主義」(盗国主义)というのもいい訳だと思います。わたしはこれを使いたいと思います。民主主義対盗国主義。
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“よい円安”? その1
先週、1ドルが130円を上回りました。
金融当局は、外国為替については事態を注視するとして、静観の一方で、日本国債の買い支えを無制限に行う構えです。円が市場に大量に出回るので、円安に歯止めがかかりません。
わかりやすくいうと、利札の額面が一定の国債の実質利子率が市場で上がらないように、国債を買い上げてその時価をあげる、国債暴落防止の措置です。簡単に言えば発行時、額面百円の国債に、年1円の利札クーポンがつけば、名目1%の金利ですが、二百円で買い上げれば、実質金利は0.5%になりますね。市場金利が0.5%のときには、その国債は瞬間的にそれだけ価値が出るわけです。
いま、アメリカで金利が高騰し、3%近くになりましたが、日本はその波及をストップさせ0.25%にとどめないと国債が暴落し、これまで異次元に大量の国債を買い集めた日銀の資産が毀損するのでした。
また、この2年間コロナ対策のいわゆるゼロゼロ融資56兆円があり、平年の国債費を上回るものもあり、この利子補給は、政府にのしかかるわけで、財政当局も、利上げに踏み切れません。1%あがると、5600億円ですからね。
したがって、為替介入の余力はないので、静観し、財政金融当局は、ともによい円安
と宣伝しているわけです。
本当にそうでしょうか?次回これをかんがえます。
「1812年」音楽の受難と「戦争と平和」
チャイコフスキーの名曲「1812年」序曲は、1880年に作曲されました。
産業博覧会という国家イベント用のテーマソングだったわけですが、帝政ロシア時代の愛国心発揚のために、ロシア帝国国歌が挿入され、仏蘭西国歌 La Marseillaiseとの主題との相克と空砲を楽器とすることによって戦争を描写しています。
ソ連時代においては、このロシア帝国国歌の部分は削除されて演奏されていました。私もその当時のスヴェトラノフ指揮の音盤を中高生のころはきいていたものです。芸術家にとっては、作品の一部が政治的目的で削除されるというのは、まったく受難です。
ソ連崩壊とともに、この国歌の下りはロシア本国の演奏でも復活しました。ロシア音楽のコテコテ感は、ロシアンティーのように、ロシア人にまかせないと味がでないですね。
最近は、ウクライナ戦争勃発により、この曲がまた受難のようです。演奏会プログラムからはずされたりしましたね。
もちろん、音楽会は、音楽監督の審美眼や価値観をあらわすもので、企画自体は、公開で行うならば公序良俗に反しないかぎり、まったく自由な発想でよいとは思いますし、また、砲声が「ロシアの対ウクライナ侵略」を想起させ不快に思う理由となっている人がいることも、十分想像はできます。それが音楽監督の思うところでなければ、プログラムから外す理由となるでしょう。
ただし、わたくしは、これはまったく別の問題ととらえたほうが、自由主義圏に生きる者としては適切だと思います。一定の芸術的評価がパブリックにさだまっている芸術作品を政治的発想から抑圧するということに賛同するならば、結局天に唾するように「不自由な世の中」として自分にかかってくるわけです。(もちろん、第三者に不快を抱かせるあるいは一方的な主張を行うような作品でその評価がまだパブリックにさだまっていないものの公開の場におけるとりあつかいは、この議論から外します。)
2022年に暴虐な戦争を行う者と、百四十年前の芸術作品を同列にすることは、わたくしの個人的見解では、適当ではありません。第二次大戦中に、米英音楽を排除し、ドイツ降伏後にはドイツ音楽をわがNHKが放送しなくなったのと同じような愚行を、繰り返してはいけません。昭和20年夏には、いよいよ孤立し、日本のラジオは、8月8日まで中立関係にあったロシア音楽を流していたわけですね、米ソの密約も知らずに。
「1812」年序曲を葬るのならば、トルストイの「戦争と平和」はどうなるでしょう。トルストイの「戦争と平和」もまた、図書館から貸出禁止にするのでしょうか。
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易学で見るウクライナ戦争(その4)
今年は壬寅の年ですね。みずのえ・とら の年です。
壬寅は、五行に分解すれば、水と土、まさしく、水色と黄色で、ウクライナ国旗となります。
壬寅の年、壬寅の月、壬寅の日が、2022年2月18日でした。その6日後に、ロシアはウクライナに対する侵略を開始しました。通常、軍隊への出動命令は、数日前に決定されるものですが、易学でみれば、天は、水土の徳をもつウクライナに見方していたといえましょう。
ロシアが、前にお話ししたように、国旗にあるように、水火の徳をもっているとすると、その気は、6月に極大となるでしょう。今年の6月は、丙午の月で、一番火の気が強いです。旧暦5月5日の端午節は、6月3日にあたりますが、この日も火の気が強いとされますが、ここらへんから、易学的にはロシアに天運がめぐりますね。今年は、6月22日が、丙午の月、丙午の日になりますので、易学でみるとロシア軍の大攻勢はこの日にきわまることになります。
ウクライナは、土徳で戦うならば、7月20日の土用入りまでもちこたえる必要があります。人民に水と食料が十分にいきわたれば、持ちこたえられるでしょう。それには、有志国は、絶え間なくふんだんに人道支援を行う必要があります。
そこからは、秋から戦線はまた膠着するでしょう。12月にはまた水徳がきわまる壬子の月まわりとなります。ウクライナとロシアの水徳がともにまされば、12月25日は壬子の月の壬子の日で、クリスマス休戦というものがなりたつ可能性を祈りたいです。
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国連人権理事会 ロシアの理事国資格を停止
というニュースが、日本の報道で詳報されたのは、三行速報はさておき、日本時間8日昼の時間帯でした。
現地アメリカはもちろん速報しました。インドの新聞もはやばやと自国の投票態度=棄権の説明を載せています。インドはこの意味で、決して日本人が甘く考えているような「遅れた国」でも「不可解な国」でもありません。
日本の大新聞の報道の例ですが、(善く言って)非常に簡単です。
国連人権理事会理事国の資格、失ったロシア 棄権58カ国で温度差も(朝日新聞) - goo ニュース
私が、国際情勢の情報源にしているのは、慎重で簡潔(正直に言えば遅くて粗略)な日本の報道ではなく、早くて正確で、よく見ているイスラエルの新聞です。
はやばやと、Times of Israel は、しっかりと国連総会での国名と投票態度の一覧表を報じています。
どこの国が、ロシアを贔屓して決議案に反対したか、日和見して棄権したかが一目瞭然です。
(リンクは、同じ紙面に、ウクライナ戦争においてロシアの残虐行為の民間犠牲者の御遺体の写真が報じられていますので、控えます。ここは、こうした、ありのままの現実を直視できる人たちの国ではありませんから。)
決して忘れない人たちがいることを忘れてはいけません。
易学で見るウクライナ戦争(その3) 読書日記:『易の話』
国旗というのは、国運をあらわします。
前二回でおしらせしたとおりです。いろいろな読みかたはあるとおもいますが、「梅花心易」というもっとも高度な手法でよむと、気づきがあります。
日本の日の丸、これは、旭日昇天ですが、易学的には「火天大有」で、豊かな発展の相ですが、傲慢さが生じると、自滅します。この百年で、日本は軍国主義やバブル経済で二度破滅していますね。まじめにやるしかありません。
それでは、ロシアの国旗はなにを意味しているのでしょうか。
ロシアの国旗は、白、青、赤ですね。ロシア政府のイデオロギーでは、白はベラルーシ(白ロシア)、青はウクライナ(小ロシア)、赤はロシアだそうです。大ロシア主義の旗なのです。
ちなみに、ロシアは長いことモンゴル帝国の一部で、この易学の一部である五行思想や十二支がロシアに歴史的につたわっていたという研究もあります。ゆえに、ロシアの西の方角は、白ということで、白ロシアというという説があります。
また、ロシアの王侯も、モンゴル帝国のもとで、「白いカーン」(チャガン・ハーン)とよばれていたわけです(モンゴル史の大家である岡田英弘氏による。)。
ベラルーシはどけて、青と赤で象意をとってみましょう。すると、ウクライナの青はドニエプル河でしたから、青い水が上、赤い火が下となります。これは「水火既済」(すいかきせい)という卦になります。
ロシアの国運「水火既済」とは?
このロシア連邦の国旗は、ソビエト連邦の崩壊後、ロシア帝国の旗に復古したものです。易経の文言をみると、その運命はこのように記されています。
卦辞:既済。亨小利貞。初吉。終乱。
ちいさいことは、まじめ(貞)にしていれば、うまく行く。
初めは吉で、あとは乱れる。
最初は吉だが、最後は乱れる、というのが国運であり、貞(まじめさ)をたもって、人物を用いればよいという運命とわかります。ロシア連邦が成立した時は、皆が期待していました。G7に迎えられてG8となりましたが、クリミアに手をだして、国運はだんだんと衰えていきます。
それから、六段階をおって、展開が記されますが、特に、以下の爻(こう:ステージ)は重要です。
三爻 高宗伐鬼方。三年克之。小人勿用。
(周の前の)殷の大王は、異民族の反乱を三年(何年も)かかって克服した。
小人物はつかってはいけない。
これは、ロシア帝国ならトルコとの戦争、現代のロシア連邦ならチェチェンやナゴルノカラバフ紛争を克服したことで、権力が高まるが、人材の登用が鍵だということですね。トルコとの雌雄を決した戦争では、西側からも名将といわれるアレクサンドル・スボーロフがでましたね。ところが、チェチェン戦争では、どうだったでしょうか。
五爻 東隣殺牛。不如西隣之禴祭実受其福。
東隣さんは、牛をいけにえにしてお祭りするが、それよりも西隣さんの質素なお祭りが天の祝福を受ける。
ロシア帝国、ロシア連邦にとって、東西の長い国境をどう維持するかが問題です。東のはぶりのいい経済的豊かさが気になるが、西隣が、天運をもっていることを学ばなければならない、と易は警告しています。
ロシアの鬼門は東側ではなく、西側なわけですね。ロシア帝国は、清の領域であった豊かな満洲に手を出して日露戦争でストップがかかり、西部国境では、第一次大戦で、タンネンベルクの戦いで、優勢にもかかわらず、陸軍は壊滅してドイツに負けてしまい、ロシア革命がおこり国が危うくなりました。ロシア連邦にとって、西の(ロシアに比べれば)小さなウクライナが欧米に接近して妬ましくなったわけですがそこで手を出してしまったのは失策といえましょう。。
上爻 濡其首。厲。
川をわたろうとした狐が頭までずぶぬれになる。危うい。
狐さん、獲物はあきらめて、ここで引き返すしかありません。
まとめの象辞はこうなっています
象曰、濡其首厲、何可久也。
頭までずぶ濡れなら、危ない。どうして長続きできようか。
ここで言う、頭、とはもちろんリーダーですね。リーダーが非難を被ってしまっては、長続きしようがありません。
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