aeonnous’s blog

Aeonnous教授の隠逸生活と意見

「現時点での今年の漢字」 「銭」

今週のお題「現時点での今年の漢字

 

それは 

でしょう。

 

両替が困難となった小銭がいまやたいへん使いづらい世の中になりました。

新年早々、お賽銭をあつめた神社仏閣もこまっているようです。

 

明治以来長らく庶民の貯蓄をあずかってきた「ゆうちょ銀行」が、今年一月から硬貨の貯金預け入れに、顧客からみればこれはちょっと、と思える手数料を徴収することになりました。

 

(以下ゆうちょ銀行HPから引用)

<硬貨を伴うお預け入れ>

(税込)

硬貨枚数 料金
1~25枚 110円
26~50枚 220円
51~100枚 330円

 

(引用終わり)

 

10円玉一枚の貯金に、110円を徴収するわけですね。

 

この両替手数料は、経済弱者にとって大変な負担となり、日本最大規模の貯金額を擁するゆうちょ銀行が、メガバンクよりも多い手数料をとることのがなぜなのか、私には理解できません。銀行の経営者や政策決定者は、110円をまさに小銭と嗤うかもしれませんが、コンビニの110円のおにぎり一つで食事を我慢している人がいかに多いか、社会の分断というものに思いを致さざるを得ません。

 

郵便貯金法では以下の規定がありました。

 

(引用はじまり)

郵便貯金法  第一章 総則

第一条(この法律の目的) この法律は、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。

(引用終わり)

 

国民のための簡易で確実、公平という旧郵便貯金の理念はどこに行ってしまったのでしょうか。この郵便貯金法を改正した郵政民営化法は、以下のように謳っています。

 

(引用はじまり。朱字筆者色付け。)

(基本理念)
第二条 郵政民営化は、内外の社会経済情勢の変化に即応し、公社に代わる新たな体制の確立等により、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上及び資金のより自由な運用を通じた経済の活性化を図るため、地域社会の健全な発展及び市場に与える影響に配慮しつつ、公社が有する機能を分割し、それぞれの機能を引き継ぐ組織を株式会社とするとともに、当該株式会社の業務と同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを基本として行われるものとする。
(引用終わり)

 

国民の利便の向上が公約されたからこそ、国民は郵政民営化を支持したのでした。

国民生活がコロナによって窮乏している現在、なぜこのような措置を、政府が最大株主である日本郵政の子会社である「ゆうちょ銀行」が行うのか、理解できません。苛斂誅求といわれても仕方がないでしょう。

 

そもそも、日本国が発行した貨幣として、1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、100円玉、500円玉は、20枚までは法定通貨としての通用力があるんです。

 

(引用始まり)

法貨としての通用限度)
第七条 貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。
(磨損貨幣等の引換え)
第八条 政府は、磨損その他の事由により流通に不適当となつた貨幣を、額面価格で、手数料を徴収することなく、財務省令で定めるところにより、第二条第一項に規定する通貨と引き換えるものとする。
(引用終わり)
 
だから、メガバンクも50枚から100枚までは預入に手数料をとりませんね。ほかの銀行ができることが、なぜ「ゆうちょ銀行」にできないのでしょうか、カスタマーとして知りたいところです。
 
戦後、インフレーションによって、銭の単位が廃止になったとき、政府は、予算措置をおこなって回収基金を用意し、半年の猶予で整理回収をしました。昔の日本人はきちんとしていましたね。また、戦後はそうしたまじめな政府だったので、国民も今より信頼をしていたのでしょう。
 
国民、金融機関、そしてかつての政府が、一銭、一円をゆるがせにしないことで、日本円は国際社会で、信頼されてきたような気がします。日本の「銭」はどこにいってしまうのでしょうか・・・