aeonnous’s blog

Aeonnous教授の隠逸生活と意見

戦艦ポチョムキンの反乱と「オデッサの階段」

今のウクライナ情勢については評論がたくさんありますが、ネットで氾濫している凡百の素人の感想話を聞いて時間をつぶすより、エイゼンシュテイン監督による往年のソ連映画戦艦ポチョムキン」を見る方が、その歴史をよく理解できるでしょう。

 

ちょうど日露戦争のころのロシア帝国の政治的社会的混乱の中で、ロシア黒海艦隊の海軍軍艦のポチョムキンが反乱を起こすというものです。

 

そこで、有名なシーンに「オデッサの階段」(Odessa Steps)という、戦艦ポチョムキンの反乱を応援していたオデッサの市民に対して、ロシア治安部隊が水平射撃をして鎮圧するシーンがあります。

 

以下はリンクです。(流血虐待シーンにつき、閲覧には気をつけてください)

https://youtu.be/VMWMq4AEyjU

 

このオデッサのひとびとというのは、今のウクライナの人たちなわけですね。

このシーンのクライマックスは、撃たれた子供を抱えた母が、

Слышите! Не стреляйте! (話を聞いて!撃たないで!)

と叫んで、ロシア兵に哀願するものの、隊長の指揮のもと、いとも簡単に撃ち殺されてしまうというものです。

武装の女性や子供をねらった残虐な上からの小銃の水平撃ちもいまと同じですが、階段の下では、コサック騎馬兵による市民へのサーベル鎮圧で、騎馬遊牧民族を投入するやり方も同じです。

 

もちろんこの作品はロシア革命を賛美する「社会主義芸術」として作成されたものですが、すぐれた文芸映画というのは、イデオロギーや体制を超えて人間性の本質という真実を描きだしてしまうのです。

 

市民への武力鎮圧に対して、このお話では、ポチョムキンが艦砲射撃でロシア皇帝の別荘を砲撃するシーンがでます。軍の造反起義が生じたロシア帝国の方がまだましなご時世だったのかもしれませんが。