aeonnous’s blog

Aeonnous教授の隠逸生活と意見

奇妙な骨董品 ファンタジーの宴

ヤフオクでおもしろい出物がありました。大清乾隆年製の琺瑯彩の碗です。

 

よそ様の御商売なので、直接リンクは示しませんが、「某財閥」ゆかりの「某寺院」様からの委託品というものだそうです。

手の込んだ仕掛けです。

清朝琺瑯彩という磁器の最高峰といわれるもので、写真でみるかぎり、ほんとうに精巧にできています。

しかし、なんとも不思議なことに、碗の底に精巧な小楷で上絵付けされた銘文がいけません。簡体字がつかわれております。乾隆年間の銘文に20世紀後半の中国の簡体字がつかわれているのは、アナクロニズムにもほどがあります。

 

ここまで手をかけながら、こうしたことが起こるとは、せっかく手間暇かけてこの骨董を作った人も売る人も、そして、買う人がいればその人も、基本的な知識が欠乏しているということになります。20年前ぐらいの贋作品にくらべ、おそらくスキャン・プリント技術の向上により、陶器も技術的には、清朝時代にけっこう肉薄しているのですが、残念ながらへんな銘文をつけるからだめです。昔は、御窯磁器の偽物は手書きの落款(「たとえば大清乾隆年製」など)がだめでしたが、今は図録からスキャンしてプリントするのでしょう。写真ではわかりません。

 

まさに、これはファンタジーというものですが、中国語ではこのような骨董品もどきを「古玩」といいます。まさに、いにしえで遊ぶ玩具なわけです。このような奇妙な宴をなぜみな真剣に行っているのか、そちらの方が興味深いです。

 

一時期、日本に残された彼の地の骨董品がだいぶ掘り出され買い戻されました。ターゲットは彼の地にあるのかもしれません。