aeonnous’s blog

Aeonnous教授の隠逸生活と意見

【音盤渉猟】心が折れそうな時は、、

心が折れそうなときは、むしろ、より一層大きな困難を味わって打ち勝った偉大な精神を思い出すしかありません。

 

バッハのヨハネ受難曲は、青春期、中年期、初老期のそれぞれ危機をのりこえさせるものでした。わたくしは、キリスト教徒ではありませんが、この音楽の力をいささかも疑うものではありません。

 

ヨハネ受難曲第一曲は、劈頭の圧巻といえましょう。この受難曲をひもとく者が、まず讃嘆してその境涯に入らんとする詩偈です。だから、フルコーダなのですね。

 

Herr, unser Herrscher, dessen Ruhm        主よ、我らが主人よ、その威光は
In allen Landen herrlich ist!            すべての邦に、壮麗たり。 

Zeig uns, durch deine Passion,            教えたまえ、汝の受難伝を以って。
Daß du, der wahre Gottessohn,           汝、即ちまことの神の子は、
Zu aller Zeit,                   いかな時も、
Auch in der größten Niedrigkeit,           大いなる屈辱のなかにありつるとも
Verherrlicht worden bist!          栄光に輝けりと。

                         (Aeonnous 訳)

 

我と汝、ですね。神秘主義的に時空を超えて合一するのです。

屈辱と栄光の道というヨハネ受難曲の特質は、第29曲のイエスの最期の言葉に表されています。

 

Es ist vollbrachat    それは一切成就せり。  (Aeonnous 訳)

 

それ、即ち屈辱と栄光の道は、十字架にかけられることによって、基督の誓願は、満願成就となるわけです。

 

バッハの神秘主義は、その精神集中、すなわち仏教的なことばをつかえば「禅定」「三昧」のはたらきによるものと思います。

 

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