易学で見るウクライナ戦争(その3) 読書日記:『易の話』
国旗というのは、国運をあらわします。
前二回でおしらせしたとおりです。いろいろな読みかたはあるとおもいますが、「梅花心易」というもっとも高度な手法でよむと、気づきがあります。
日本の日の丸、これは、旭日昇天ですが、易学的には「火天大有」で、豊かな発展の相ですが、傲慢さが生じると、自滅します。この百年で、日本は軍国主義やバブル経済で二度破滅していますね。まじめにやるしかありません。
それでは、ロシアの国旗はなにを意味しているのでしょうか。
ロシアの国旗は、白、青、赤ですね。ロシア政府のイデオロギーでは、白はベラルーシ(白ロシア)、青はウクライナ(小ロシア)、赤はロシアだそうです。大ロシア主義の旗なのです。
ちなみに、ロシアは長いことモンゴル帝国の一部で、この易学の一部である五行思想や十二支がロシアに歴史的につたわっていたという研究もあります。ゆえに、ロシアの西の方角は、白ということで、白ロシアというという説があります。
また、ロシアの王侯も、モンゴル帝国のもとで、「白いカーン」(チャガン・ハーン)とよばれていたわけです(モンゴル史の大家である岡田英弘氏による。)。
ベラルーシはどけて、青と赤で象意をとってみましょう。すると、ウクライナの青はドニエプル河でしたから、青い水が上、赤い火が下となります。これは「水火既済」(すいかきせい)という卦になります。
ロシアの国運「水火既済」とは?
このロシア連邦の国旗は、ソビエト連邦の崩壊後、ロシア帝国の旗に復古したものです。易経の文言をみると、その運命はこのように記されています。
卦辞:既済。亨小利貞。初吉。終乱。
ちいさいことは、まじめ(貞)にしていれば、うまく行く。
初めは吉で、あとは乱れる。
最初は吉だが、最後は乱れる、というのが国運であり、貞(まじめさ)をたもって、人物を用いればよいという運命とわかります。ロシア連邦が成立した時は、皆が期待していました。G7に迎えられてG8となりましたが、クリミアに手をだして、国運はだんだんと衰えていきます。
それから、六段階をおって、展開が記されますが、特に、以下の爻(こう:ステージ)は重要です。
三爻 高宗伐鬼方。三年克之。小人勿用。
(周の前の)殷の大王は、異民族の反乱を三年(何年も)かかって克服した。
小人物はつかってはいけない。
これは、ロシア帝国ならトルコとの戦争、現代のロシア連邦ならチェチェンやナゴルノカラバフ紛争を克服したことで、権力が高まるが、人材の登用が鍵だということですね。トルコとの雌雄を決した戦争では、西側からも名将といわれるアレクサンドル・スボーロフがでましたね。ところが、チェチェン戦争では、どうだったでしょうか。
五爻 東隣殺牛。不如西隣之禴祭実受其福。
東隣さんは、牛をいけにえにしてお祭りするが、それよりも西隣さんの質素なお祭りが天の祝福を受ける。
ロシア帝国、ロシア連邦にとって、東西の長い国境をどう維持するかが問題です。東のはぶりのいい経済的豊かさが気になるが、西隣が、天運をもっていることを学ばなければならない、と易は警告しています。
ロシアの鬼門は東側ではなく、西側なわけですね。ロシア帝国は、清の領域であった豊かな満洲に手を出して日露戦争でストップがかかり、西部国境では、第一次大戦で、タンネンベルクの戦いで、優勢にもかかわらず、陸軍は壊滅してドイツに負けてしまい、ロシア革命がおこり国が危うくなりました。ロシア連邦にとって、西の(ロシアに比べれば)小さなウクライナが欧米に接近して妬ましくなったわけですがそこで手を出してしまったのは失策といえましょう。。
上爻 濡其首。厲。
川をわたろうとした狐が頭までずぶぬれになる。危うい。
狐さん、獲物はあきらめて、ここで引き返すしかありません。
まとめの象辞はこうなっています
象曰、濡其首厲、何可久也。
頭までずぶ濡れなら、危ない。どうして長続きできようか。
ここで言う、頭、とはもちろんリーダーですね。リーダーが非難を被ってしまっては、長続きしようがありません。
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